アスリート管理栄養士が選ぶ

アスリートや運動・筋トレをする人にオススメする脂質・油のお話

この記事では、一般の方はもちろん、スポーツ選手やアスリートがパフォーマンスを維持する事や体作り(ボディメイク)をする上で、脂質とどうやって向き合えばいいかについて、日本人の食事摂取基準や海外のデータを基に解説していきます

今回は、アスリートや運動・筋トレする人が脂質・油とどう向き合っていけばいいか

をテーマにお話をします

なぜこの記事を書こうと思ったのかというと

スポーツ選手や、そうでない人も

脂質は悪である!!

というイメージを持っている方が

多いと感じた為です

CMや雑誌といったメディアでも

まるで、 脂質が悪であるような表現が多く

それに影響?洗脳?された人たちが

やたら脂質を毛嫌いするような現象が

自分の身の回りで起こっていました

だから、この記事を通して

少しでも脂質に対しての偏見をなくし

知識を身につけていただきたいと思っています

なんで脂質が人間に必要なのか

そもそも脂質がなんで身体に必要なのか

ご存知ですか?

みなさんが小学生、中学生の時

家庭科の授業で習ったのかもしれませんが

脂質=身体のもとになる 三大栄養素

みたいなイメージがあるのではないでしょうか?

もっと詳しく説明すると

身体の細胞の膜を作ったり

みなさんの体に影響を与えるホルモンを作ったりします

もし、全く脂肪分を摂らなかったらどうなるの?

って声が聞こえてきそうですね

もしそうなったら様々な症状がでてきます

脂質を全く摂らないという事は、

細胞の膜の合成が抑えられる

血管も細胞でできていますから例外ではありません

怖いところだと、脳出血が起こる恐れがあります

目に見える症状だと、

皮膚の乾燥が起こります

そこから炎症が起こったり、

耐えがたいかゆみに襲われることになるでしょう

まず日本では、全く摂らなくなるという状況は

滅多にならないと思いますが

途上国や食文化上、脂質の摂取が全くない条件下では

十分に起こりうる事です

飽和脂肪酸・オリーブオイルなどの脂質に関する研究報告をちょろっと

Dietary intake of saturated fatty acids and incident stroke and coronary heart disease in Japanese communities: the JPHC Study | European Heart Journal | Oxford Academic

2013年に発表されたKazumasa Yamagishiによる研究です

日本人を対象とした大規模な調査で

飽和脂肪酸(ここでいう悪いやつ)を最も多く摂っているグループは

飽和脂肪酸の摂取量が1番少ないグループよりも

脳出血のリスクが約30%低くなる

という結果が報告されました

脂が食卓に占める割合が多い、欧州諸国や、アメリカの人たちは

飽和脂肪酸(わるいやつ)の摂取量を抑えましょう

ってなっています

実際、摂れば摂るほど心臓の病気のリスクが上がる事は

事実ですからね

でもそれが、同様に日本人に対して当てはまるか?

って話です

彼らと私たち日本人では

もってる身体の中の消化酵素が

多少は異なってくるので

欧州人やアメリカ人に当てはまることは

日本人に当てはまるってことやないってことです

Major types of dietary fat and risk of coronary heart disease: a pooled analysis of 11 cohort studies. – PubMed – NCBI

これは2009年にJacobsen M.Uによって発表された論文です

内容は

飽和脂肪酸を一価不飽和脂肪酸に置き換えても

心疾患の発症率やそれに伴う死亡率は変わらない

極端な例でいうと

牛の脂身をオリーブ油に置き換えても

あまり意味がないという解析結果になりましたー!

という内容です

そもそもオリーブ油が、健康に良い理由というのは

脂質の成分ではなく、

いわゆるポリフェノールといった

抗酸化作用がある物質(人間にとって酸はいい影響を与えない)

によるものであるのではないかという意見もあります

私もそうなのではないかと思います

現状、日本人がオリーブ油を摂取することによる健康効果を示す明確な根拠は

確立されていません

明確な根拠がないのに、メディアで日夜、効果を謳っていますよね

メディアが必ずしも正しいとは限りませんので

テレビが言ってたからそうなんだよ!!

と情報を鵜呑みにするのはやめたほうがよさそうです

しかし、オリーブ油にも有効成分が含まれていることも確かなので

摂らないよりは、摂った方が良いです

ただ、も○みちみたいにドバドバ使うんやなくて

あくまで適量の範囲で使いましょうね

油であることは変わりありませんので

取りすぎはエネルギー過多で、肥満につながるリスクもあります

アスリートがもし油・脂質多めの食生活だったらパフォーマンスにどう影響する?

これに関しては

競技や選手の目的によって結論が変わってきます

ただ、一般的にスポーツ選手は

脂質を控えているというのが

一般的な印象でしょう

現在、スポーツ選手の適切な脂質の摂り方というのはまだ確率していないのが現状ですが

日本のスポーツ栄養において、脂質は

消化吸収に時間がかかる栄養素で、摂取のタイミングによっては

パフォーマンスに悪影響が出る可能性もある一方

効率の良いエネルギー源であり

アスリートにとっての重要なエネルギー源になるから

状況を見ながら活用していこうね、という考え方もあります

アスリートと脂質の関係に関する様々な研究結果も報告されています

Raising plasma fatty acid concentration induces increased biogenesis of mitochondria in skeletal muscle. – PubMed – NCBI

簡単に言うとこの論文は

長期的な高脂質食を摂ることによって

ミトコンドリアの増加が認められるという内容です

つまり、ミトコンドリアが増加することにより

体内のエネルギー産生が高くなり

結果パフォーマンス向上につながるのではないか

という考え方です

しかしこの研究対象はラットで

人間ではありません

人間だと、運動中のエネルギーとして脂質(体脂肪)利用が増加しますが

パフォーマンス向上という点では

やはり体重増加や消化吸収に時間がかかることによる腹部の違和感が

絡んでしまうので、

都合良くはいかないみたいです

結論、脂質はどれくらい摂取するのがいいの?

現状は脂質に関しては、日本人の食事摂取基準に則った

摂取量を基準に考えるのが良さそうです

だいたい、総エネルギー(カロリー)摂取量のうち20-30%が目標量と言われています

低脂質/高炭水化物食は食後血糖値及び空腹時トリアシルグリセロール(中性脂肪)値を増加させ、血中 HDLコレステロール値を減少させる。健康な人において、このような食事をしても、 動脈硬化症、肥満、糖尿病が増加することを示す報告はないが、長期間にわたってこのような血中脂質パターンが続くと、冠動脈性心疾患のリスクが高くなる。

日本人の食事摂取基準2015 報告書

この低脂質というのが一日の総エネルギー(カロリー)量20%以下のことで

少なくともこの値より多くの脂質をとった方が良いでしょう

ということです

脂質は少なすぎても疾病リスクが高いということですね

もう一つ、飽和脂肪酸について

飽和脂肪酸に関しては、健康に悪いからあまり摂取しないほうが良い

という話を聞いたことある方もいらっしゃるかもしれません

飽和脂肪酸とは、乳製品、バターや牛肉、豚肉などからも摂取できる脂肪酸であると同時に

体内でも作れる脂肪酸です

実際に飽和脂肪酸の摂取量を減らすほど

心筋梗塞になる確率を減らすことができる可能性があるという介入研究があります

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042631.pdf

日本人の食事摂取基準において、

飽和脂肪酸をどのくらいに抑えたら良いのかについては

脂質摂取量の7%以下に抑えるべきとのことです

とまあ、脂質をどれくらい摂取すれば良いのかに関して

数値で表したんですが

すんごくわかりにくいと思うので

アスリート系管理栄養士である私が実践してる

脂質の摂取量が少なくなりすぎない+飽和脂肪酸を抑える為のポイントをまとめてみます

・バターやマーガリン控える代わりにオリーブオイルやごま油、亜麻仁油などを活用

・魚(さば、イワシ缶など)や鶏肉、卵、大豆製品を積極的に食べて、豚牛は控えめに

・スープや和え物、煮物や炒め物にも油をちょっと加える(コク・香りづけの意味でも)

これらのポイントを意識しながら

健康診断の血液検査や体重、体脂肪率を観察しながら

食生活を調整していくイメージですね

定期的な健康診断や体重測定などは

自分の健康度合いが可視化できるツールでもあるので

オススメします

体重や体脂肪、筋肉量に関しては

インボディでの測定をオススメします

詳しくはこの記事に書いています

ダイエットやボディメイクにオススメ!インボディ(InBody)って知ってる?

ダイエット・ボディメイク・筋トレするならインボディ(InBody) をぜひやって欲しい

ケトン食が競技パフォーマンスを上げる?!

競技の中でも長時間に渡るもの

例えばトライアスロンやウルトラマラソンですね

このような競技では

いかにして体内の糖質が枯渇しないようにするか

が鍵になってきます

そこで用いられるのが

ケトン食です

ケトン食の大きな特徴は

低糖質、高脂質です

管理栄養士の養成校では

治療食としてケトン食を勉強します

てんかんの方の治療食だからです

||| てんかんとは | 公益社団法人 日本てんかん協会 |||

ケトン食は

糖質の摂取量をほとんど無くしてしまうため

糖質由来のエネルギーではなく

脂質由来のエネルギー利用が多くを占めるようになります

脂質の摂取が多くなることで

特に肝臓で脂肪酸の利用が多くなります

これに伴い、ケトン体という物質が大量に生成されます

なぜケトン食がエネルギーが枯渇しないためのカギになるのか

それは、体内のエネルギー利用が

糖質優先から脂質優先になるからです

普通の人は体内のエネルギーを利用する時

糖質

脂質

タンパク質(筋肉)

ですが

長期間ケトン食を実施した人は

脂質

糖質

タンパク質(筋肉)

になります

糖質(4kcal/1g)に対して

脂質(9kcal/1g)の方がエネルギー量が多いため

体内の糖質の枯渇をより長引かせることができます

しかし、こうなったからと言って

パフォーマンスが向上するのかというと

そうではない結果が報告されています

Low carbohydrate, high fat diet impairs exercise economy and negates the performance benefit from intensified training in elite race walkers. – PubMed – NCBI

高糖質食を摂り続けた選手が10Kmレースで良い成績を収めたのに対して

ケトン食を摂り続けた選手はそうでもなかったのです

しかしこれは、ケトン食の効果を発揮するためには

すこし短い競技時間なのだと思います

トライアスロンやウルトラマラソンなどで

初めてその効果が発揮されるのだと思います

さらにエネルギー利用が脂質優先になる代謝機構にシフトするまでに

少なくとも数週間から数ヶ月、ケトン食を続けなければならないでしょう

まとめ

脂質はエネルギー量が多いですが

通常では消化吸収の関係から、エネルギー効率は

糖質に比べると劣ります

さらに、パフォーマンスを絡めてくると

体重増加による影響を受ける可能性もあります

しかし、長時間運動においては

ケトン食により

エネルギー利用優先順位を

糖質から脂質にシフトすることにより、

糖質の枯渇を防ぎ、

効果が発揮される可能性もあります

長時間運動ではない競技者では

食事摂取基準に則った目標量を摂取するのが

無難であると思います

一般の方に関しては

プラスαの効果を持ちうる

オリーブオイルやごま油、ココナッツオイルなどを

普段使っているサラダ油や、肉の脂身と置き換えてみては

いかがでしょうか?

アスリートや運動する人と脂質・油について解説するぞ

アスリート系管理栄養士がおススメするMCTオイルなどの機能的な油

ここまで読んでくださりありがとうございました!